フィリピンに来たばかりの頃、アホな質問をよくされたものだ。
「忍者の友達はいるか?」
「やくざの友達はいるか」
しかし、これが正に海外から見た日本のイメージなのだ。
特にフィリピン人は自分の島から出たことが無い人が多い。
セブの大学のクラスで「マニラに行ったことがある人いますか?」という質問をすると一人か二人程度が手を挙げる。
忍者とやくざとアニメで構成される日本というファンタジー。
日本の高校生はぜんぶスラムダンクの世界で、男子は桜木とか流川がたくさん歩いている。
外国人が描く日本といえば、先日、いつもの海賊版DVDショップで買った映画「The Outsider」が私の中でシンクロした。
元米兵が大阪で「ヤクザ」になるちょっと無理のあるストーリーなのだが、シナリオはさて置き、映画の中に登場する風景や主人公の置かれ立場がフィリピンに来る前に人生をさすらった私の北九州時代を克明に思い出させた。
それもそのはず、気になったの確認したら、ロケ地の一部に北九州市小倉北区の旦過市場が採用されていた。
あの頃は家族を含め、いままで拠り所にしていた場所から突然放りだされ北九州へと流れついた。
知り合いの居ない、言葉も文化も違う場所は私にとって異国。
そこで出会う外国人の方がよほど親近感が沸いた。
まるで私のために敷かれたような自虐的路線を突き進み、北九州にいる外国人女性とだけ関係を持つようになった。
人間孤独になると強くなる。
いや強くなりたくなると言ったほうがしっくりくるだろう。
小倉のキックボクシングのジムに週三で通い、2時間の練習が終わっても帰らずそのまま小倉の街を飲み歩いた。
そうやって成り行きで泊まったところが家で寝たオンナは全て女房というコンシューマブルな人生。
しかし、小倉の街をうろつきつつも、心はいつも自分の居場所を求めていた。
映画のストーリーはまるでラストサムライとゴッドファーザーを足して3で割ったような内容。
ジョーカー役で有名なジャレットレト演じる元米兵ニックが主人公。
1954年、終戦まもない大阪が舞台。
刑務所に収監されたアメリカ兵ニックは、同じ房にいたヤクザのキヨシ(浅野忠信)と知り合う。
脱獄の手伝いをしたことでニックは清のいる組の世話になることになる。
米軍がらみの鉛の玉のでる黒い筒取引で罠に嵌り、よその組のチンピラを殺してしまう。
詫びとして潔く二本も指をあっさり詰めて見せたことで組長に気にいられ、杯を交わすことになる。
今でこそライププランなんてわざとらしい用語があるが、人生なんて所詮成り行きの連続だろう。
せいぜい後から逆算して美談が創作されるのだ。
「お前は家族が居ない。今日からお前は俺たちの家族だ」
年を取った組長が言うセリフがあるが、ここはあえて言葉にしないほうが深かった気がする。
戦後の混沌としたなんでもアリな世界。
きっとアンダーグランドの世界で儲けた元米兵やCIAも居たことだろう。
この怪しく道理の通らない世界は少々フィリピンと重なる。
『アウトサイダー』はそんな時代を背景にした作品だ。
浅野忠信演じるキヨシの英語が流暢すぎて逆に不自然。。。
昭和のヤクザは不器用な方が様になる。
その妹役の忽那汐里の英語がかなり上手いので最初は宇多田ひかるが若作りして出ているのかと思ったが、オーストラリア育ちの最近の女優のようだ。
忍者もアニメも非現実的な存在だが、ヤクザだけは唯一リアリティーのあるファンタジーだ。
ガイジンのほうが下手な日本人より義理固いというコンセプトの出し方はラストサムライと同じ。
このオチはアメリカ人がメガホンをとる日本映画の共通した美味しさなのかもしれない。
またひとり小倉の街で飲み歩いてみたい。
観る人によって感じ方はきっと様々だが、私にとってノスタルジックを満喫できた良い映画だった。
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