先日、セブでIT関係の仕事をしている日本人と話をする機会があった。
数年前、フィリピンで起業するIT関係の若者が話題になっていたが、最近めっきり減った気がする。
「最近、ITの起業とかオフショアってあまり聞かないですよね」
「僕の場合は、日本で受注してセブで仕事しているだけなんですけど、フィリピン人使うの大変っすよ」
「オフショア志向の人達ってどこに行ったんですか?」
「いま殆どベトナムっすね」
日本人にとってのITオフィショアの聖地となったのはフィリピンではなく断然ベトナム。
「ベトナム人ってわりと空気読むし、日本語話せるらしいっすよ」
「へぇ~!」
空気読めて日本語話せたらオフショア対象国として最高だ。
フィリピン、ベトナム比較
上段フィリピン、下段ベトナム
人口 1億1千万
9千2百万
面積 29万9,404平方キロ
32万9,241平方キロ
言語 タガログ、英語 80言語からなる
ベトナム語
主な宗教 ローマンカトリック
仏教
一人当たりGDP 2,858米ドル
2,215米ドル
物価上昇 3.26%(5年平均)
2.66% (2016年)
経済成長 5.9%(5年平均)
6.21%
失業率 6.3%
2.3%
大乗仏教ベトナム人は空気が読める!?
ベトナムは民の8割が仏教徒の国。
それも日本と同じ大乗仏教で、タイのような上座部仏教と呼ばれる修行度の高いものではなく、寺は通常生活とはかけなられた存在となっている。
フィリピンで生活しながら痛感するのことが、宗教はその国の人の根本的マインドに深く影響する。
これはまだ統計上の結果だが、勤勉なフィリピン人ワーカーは非カトリックが多い。
空気が読めるベトナム人と自己の権利を純粋に主張し続けるフィリピン人。
まさに個人主義と集団主義のコントラスト。
この大乗仏教という共通点が日本とベトナムの互換性の構築に一役かっている気がしてならない。
日本語が話せるベトナム人多し!
ちなみに、2016年に実施された日本語能力検定受験者数は下記のとおりである。
ベトナム:28276人
フィリピン:4136人
ベトナム人はフィリピンの6.8倍の受験者数だ。
この歴然とした差は日本語が話せるベトナム人が多いという対日アドバンテージの根拠となるだろう。
一方、フィリピンのアドバンテージは英語。
英語案件ならばフィリピンでの作業に軍配が上がるのだが、日本人が英語案件をゲットすること自体ハードルが高く、日本語の案件をそのまま投げれるベトナムに軍配が上がるだろう。
理数系の強さ
フィリピンといえば信じられないレベルで数字に弱い。
英語力は高いのだが、残念ながら大卒で1/2+1/3の計算やや三角形の面積が解ける割合は非常に少ない。。。
英語力と引き換えに基礎学力を犠牲にしている感が濃厚だ。
単なる英語力は欧米からのコールセンターワーカーとして使われるのみで、メーカーとしてのクリエイティブな作業へと結びつかない。
一方ベトナムは国際数学オリンピックでメダルを取るほど理数系が得意だ。
”タイで開催された「第56回国際数学オリンピック2015(IMO 2015)」で、ベトナム代表として出場した高校生6人のうち2人が金メダル、3人が銀メダル、2人が銅メダルを獲得し、全員メダル獲得の快挙を成し遂げた” ▶元ネタはこちらから
理数系に強いという点は今後の発展にとって非常に高いアドバンテージだろう。
既にベトナムは物づくりの産地としての地位を確立している。
そのうち中国と同じで生活水準も上がり、インダストリーワーカーの枠から卒業するだろう。
数字に強いということは、計画性にも影響が出る。
フィリピンも納期を守れない民族というレッテルから脱却するには、理数系のトレーニングが早急の課題と思われる。
気持ちくなるケミカル類撲滅運動も良いが、基礎的教養の底上げの必要性を強く感じる。
まず外国人講師へのビザ免除措置の必要性。
これは4年前に私が大変苦労して大学で働く労働ビザを取得した時に痛感したことだ。
僭越ではあるが、せっかく安月給で自分が日本で培った事を伝授しようじゃないかと思っているのに、ワーキングビザを自力で取ってこいという無茶ぶりに心が折れそうになった。
自己を否定されることなく育つフィリピンでは、皆が己に自信たっぷりだ。
精神衛生上大変良いことなのだが、このままではアセアンで最もダメな国になること必パタイ(人間の最後に訪れる儀式)だろう。
明治時代の日本のように、外国人講師を労働ビザ免除で雇用する体制の必要性を感じる。
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