呑気で「上にぎり」を食うガイジン
先日、SMセブシティの呑気に家族を連れていった。
いや、ティムが「今日は呑気に行くよ」と強い意思表明を行ったので大人しく従ったというのが正直なところだ。
私は精進料理に最も近いフードコートにある「GOTO KING」でお粥を粛々とすする感じで全然良いのだが、気分はマダムな物欲小魔人メスライオン様と生活しているとグイグイ浪費してしまう。。。
さて呑気にて私の隣のテーブルにアメリカ人のカップルがやってきた。
やる気のなさそうなウエイトレスが無表情で注文を取りにやってきたときに彼女は盛んに「A low carb diet」という言葉を発していた。
つまりCarbohydrate (炭水化物)抜きダイエットをしているという事なのだ。
つまりライスやヌードルは不可。
ウエイトレスおすすめの「餃子」をオーダーすることになった。
さて、彼氏の方だが、迷うことなく「上にぎり大」を注文した。
どうやって食べるの?
さて、先に彼女の餃子が運ばれてきた。
彼女は一瞬躊躇したが、おもむろに餃子を手でつかんで食べ始めた。
下手に無理して箸をぎこちなく使って食べるより豪快に手で食べた方が美味いだろう。
手なんて猫みたいに食後に洗えば良い。
ワイルドな表情で獲物にかぶりつく女性の顔を見ていると、いろいろなシーンへの応用を想像してしまう。
さて、20分程した頃に彼氏の寿司が運ばれてきた。
彼女は全く興味なさそうに彼氏の寿司を眺めている。
一応箸を使っているが、握り方がヘタクソ過ぎて外国人らしさ満載だ。
きっと今日本に押し寄せているインバウンドを活性化させている外国人観光客もこんな感じで寿司を食べているのだろう。
そんな豪勢なアメリカ人の隣で日本人の私が食べていたのは、呑気で最安値のどんぶりシリーズ。
「生姜焼丼」だ。
インフレで呑気弁当は300ペソ付近まで上がってしまったので、最後の逃げ道として240ペソシリーズのどんぶりというチョイスだ。
そういえばセブで寿司を殆ど食べたことがない。
嫌いというわけじゃないし、むしろガッツリ食べたいのだが、一食300ペソを超えるとタブー感がこみあげてくるのだ。
きっと根っからの貧乏性なのだろう。
「おもてなし」は日本人を幸せできるのか?
三年に一度のペースで一週間前後日本へ一時帰国するのだが、その時はALLホテル滞在ということもあり、それなりの出費を伴う。
昨年母が亡くなったのをきっかけに家族を連れて10日間滞在したが、知人のマンションのゲストルームを格安で利用させてもらったり、一部屋でナンボという料金設定のエアビーアンドビーを使ったり、かなり切り詰めた結果きっちり50万円使った。
50万円といえばセブの庶民の年収2年分に相当する額である。
しかし、浪費した感はほぼなかった。
なぜから50万円以上の質とサービスを確実に堪能したと思うからだ。
先日、この記事を読んだ時に心の中で共感の嵐が吹き荒れた。
外国人が増えたのは、日本が「格安天国」だから
つまり、旅行者としての満足度は本当に最高だ。
それは日本へ旅行者として行ったフィリピン人達も皆同じことを言う。
しかし、逆に言えば働きたくない。
「おもてなし」という精神のもと、家族との時間や自分の労働を犠牲にし、高いサービスを格安で提供しているのだ。
つまり言い換えれば「良い物を安く提供し過ぎている」ということなのだ。
なぜそこまで媚びなければならないのだろうか?
それはきっと「おもてなし」という犠牲の精神の副作用だ。
日本は個人という言葉はあっても主体として存在できない。
個は集団へのサクリファイスであり、「お勤めご苦労さんです」という言葉のまま、個人の犠牲の度合いの高さが評価されるマゾ的文化がある。
高い質のサービスを格安で提供するということは給料も格安だ。
7スターホテル並みのサービスを提供して3スターの報酬を手にする。
その結果、やっている仕事のわりに給料の安い日本の従業員たちは本来買うべきものさえ買い渋る。
そしてその消費の低迷が、経済を鈍らせ、各業界の従業員の給料も全体的にデフレぎみとなる。
またサービス提供側から消費者側になったら最後、奉仕の精神が逆転してモンスター消費者へと変身する。
日本全体をこういった負の悪循環が席巻している。
良い人をやめる
フィリピンにおいて日本人は「優しい」そして「良い人」だという評価を得ている。
しかし、コリアンと比べて日本人は優しいと言われて単純に喜んではいけない。
それは、紛れもなく日本人はチョロいというのが真意なのだ。
つまり海外において謎の「おもてなし」精神はただのお人よしに過ぎない。
良い物を安く提供?
いやいやフィリピンの富裕層を見ていると、値段が高くて見栄をはれる見栄えの良いサービスを望んでいる。
店はぼろいが安くて美味いそば屋に通うという「日本の粋」は微塵もない。
フィリピン富裕層相手のラーメン店は味で勝負するのではない。
家族や友達を招待して、フィリピンらしくレスペクトされるような高級ラーメンショップに意味がある。
フェイスブックやインスタ映えは必須条件。
最も有効なのは自分が優雅に食べている姿をウイドウ越しに見て貰えるようなセッティングだ。
日本はそろぞろ謎の「おもてなし」から脱却し、強気で実利を狙うべきだろう。
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