突然いなくなるヤヤ
メイドが田舎や親せきのところに行って二度と戻ってこないという話は鉄板の「フィリピンあるある」シリーズ。
律儀なメイドはスマホのメッセージで「moundang ko モ オンダン コ(辞めます)」と伝えてくるのだが、殆どのメイドは音信不通の失踪という形をとる。
アイアイは人セブ市にあるメイド紹介会社を通じて来ていたが、ジョビに続いて二人目の脱落者となった。
料理を作れば濃いか甘いの極端で、洗濯すれば濯ぎが適当すぎて仕上がりがいつもなんだか生臭い。
冷蔵庫に生鮮食品をいれずその辺に放置しまくり、エアコンや家電はつけっぱなしで外出する。
4000ペソという給料の半分も役に立っていなかった気がする。
彼女の出身地は外務省が渡航禁止にしているミンダナオ西部出身。
まあ嘘さえつかなければ見込みがあると”先日ノートとペン”まで買い与えて成長を促してきた。
こちらの気持ちは1㎜もかすっていなかったのだろうか?
メイド紹介会社へ別のヤヤを斡旋して貰うためにいきさつを説明したら、連絡先となっているセブのコンソラション市の叔父とやらに電話をかけて確認しはじめた。
「アイアイがあなたとボゴへ行くと言ったっきり戻って来ない」
するとこんな返事が返って来た。
「え、俺ボゴに行く予定もないし、アイアイは戻ってきてないよ」
口裏を合わせただけなのかもしれないが、最後は大嘘をついて失踪したのだった。
ジョビもアイアイもこちらがクビにしたわけではなく、二人とも勝手に辞めて行った。
メイド紹介会社
メイド紹介会社へは紹介料12000ペソを支払っているが、半年以内だったら逃げたりした場合の補填をしてくれることになっている。
紹介会社は人材派遣ではなく、単に探す手間を省くだけのサービスなので、数打ちゃ当たるというマインドで臨む必要があるのだ。
ちなみに紹介するだけなのでその後メイドが何か悪さしようが失踪しようが損賠賠償には及ばないのだ。
ティムの調査によれば失踪の数日前からアイアイが男とフェイスブックでやり取りしていたのを見たらしい。
そして今回の件で再びメイド紹介会社を訪れるはめになったのだが、その時ティムはこんなリクエスト出した。
「Uyab(オヤッブ)」とは彼氏または彼女のことである。
事務所の管理者である眼鏡をかけたチナイ(中華系フィリピーナ)がこういった。
「実はこのリクエストが最も多いんですよ」
最も大きな妊娠問題
恋は盲目という言葉にすっぽりと当てはまるローカルフィリピーナは仕事よりオヤッブの方の優先度が高く、暇さえあれば1日中携帯で 「Gemigaw ko nimo don」(ギミガオ コ ニモ ドン)(会いたいよ)を繰り返す。
それはうちに来たベビーシッターのみならず全国的に同だろう。
だから現地でフィリピン人と付き合うとスマホが手放せなくなる。
メッセージを少しでも放置すると、「他の女のことで忙しいのでしょう?」みたいなキレ方をされる。
しかし、今いちばん問題になってるのは妊娠なんです。
「いや、それだとうちの責任にされないんだけど、紹介した時点で既に妊娠してるケースが結構あるんですよ」
まるでフェンテオスメニア周辺で買った仔犬が実は病気だったみたいな流れと似ている。
一応、肺のレントゲンと血液検査等の基本的健康診断証を雇用主へ提出するのだが、非妊娠という証明書も添付する予定だとか。。。
次は非妊娠証が添付できるメイドが用意できるまで少し時間が欲しいとのことだった。
フィリピンの幸福度の高さは逃げるという選択肢を確実にもっており、潰れるまで耐える日本人とは明らかに違う。
アイアイが失踪して残念な気持ちが大きいが、変な話、男と逃げて今以上に幸せになってくれれば良いと言う気持ちもある。
日本では逃げたり辞めたりする行為は根性がないとかネガティブな扱いとなるが、逆にそういう勇気の薄いわたしにとってはその決断と失踪力が少し羨ましくもある。
アイアイが残していったアマガエル色のAカップ用ブラだけが風にさびしく揺れていた。
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