カルチャーショック

【フィリピン実話】ストリートフード屋vs学校の先生

投稿日:2018年11月8日 更新日:

30年前の日本と同じと言われるフィリピンだが、まだまだ甘い。

今回は学校の先生が頂点だと思っている庶民の話をさせてもらおう。

これはあくまで例えだが、戦前の日本では学校の先生は天皇陛下の次に偉いと言われていた。

実際、地元の名士の長男が限られた人間しか大学に行かない時代に進学し、「読み、書き、そろばん、教養」を同時に身に着け、学校の先生はスーパーマン扱いされていたらしい。

犬で言えば血統書付きみたいな感じだ。

私の祖父の実家は長崎でも山を複数所有する資産家だったらしい。

爺ちゃんの語る昔話の中で大切に育てられたKINGである長男が学校の先生になり、末っ子でどうでもよい扱いだった祖父は海軍兵学校へ進み士官の道を選んだという話を聞いた時にピンとこなかった。

「先生より海軍の幹部のほうがぜんぜんいいやん?」

長男が一番偉いという昔の家長システムのアドバンテージがありながら何が悲しくてわざわざ学校の先生になるのか?

学校嫌いだった私はとくに不思議でしょうがなかった。

ところで、今のフィリピン。

100年前の日本と同じで学校の先生の社会的地位がやたらと高い。

特に田舎の庶民層にとっての王道は地元の大学を出て学校の先生になること!

公立の学校の先生は特に名誉職でDepedという日本の文部科学省に所属し、Facebookのプロフィール欄でもそこをかなり誇示する傾向にある。

先生は大統領の次に偉い!?

ちなみに先生の社会的地位の話でよく出てくるのがニューヨークと中国の比較。

収入が重視されるニューヨークでは、教師がどれだけ稼いでいるかが社会的地位と相関している。
一方、年長者を敬うことが文化規範となっている中国では、教師は高給ではないが、より高い社会的地位が与えられている。

フィリピンはまさに伝統的なアジアンな価値観を象徴してるのだろう。

先日たまたま見たコラムが大変面白く、この事実を象徴する内容だ。

フィリピンの道端では無許可で営業しているストリートフード屋台がところどころ出店している。

もちろん営業許可もなければ税金も納めていない。

ある時、学校の先生がフィッシュボールと呼ばれる魚の白身を油で揚げたストリートフードを買った時に、店のおっさんが高校の同級生だと気が付いた。

高校を卒業して10年経過し、一人は学校の先生、もう一人はしがないフィッシュボール屋になっていたのだ。

👦Teacher: Manong 5pisong fishball nga.
先生:おやじ、フィッシュボール5ペソ分くれ。

👨Fishball vendor: Pre, kamusta na?
店のおやじ:おい、友よ、元気か?

👦Teacher: Uy ikaw pala pre! Eto pre, teacher na! Ikaw Kamusta na?
学校の先生:おお、お前か!今俺はな、なんと学校の先生様になったのだ。お前は元気でやってるか?

👨Fishball vendor: Eto pre, simpleng fishball Vendor. Buti ka pa pre!
店のおやじ:ああ、俺か?見ての通りしがないフィッシュボール屋さ。

👦Teacher: Dapat kasi pre nag aral ka!
先生:だからな、お前は一生懸命学校で勉強すべきだったんだよ。

👨Fishball vendor: Oo nga pre eh.
店のおやじ:ああ、そうだな。

👦Teacher: Eh di sana pre, 18k/month din kita mo.Magkano ba kita mo dyan pre?
学校の先生:そうすりゃお前だって俺みたいに月給18000ペソ貰えたんだぞ。

👨Fishball vendor: 1,500 per day pre. May dalawa pa akong cart at may tagabenta ako. Iba pa yung kinikita ko dun. Magkasakit man ako, at di makapagbenta, may kita parin ako… Nakabili narin ako ng lupa pre dahil sa pagbebentang fishball. Plano ko magpatayo ng apartment.
店のおやじ:俺の場合、1日に1500ペソ入る。屋台を2台持っていてもう一つは他の奴にほかの場所で売らせてる。もし俺が病気になって働けなくなっても屋台を他人にやらせて収入を確保できるからダイジュブ。それと、フィッシュボールで稼いだオカニで土地を買ったから、そこにアパート立てる予定だ。

😬Teacher: (Speechless)
学校の先生:無言

学校の先生神話が敗れた瞬間だ。

この風刺会話がわざわざコラムとして世間に出てくるということはフィリピンの夜明けはひょっとして近いのかもしれない。

この店のおやじの収入だが、1500ペソが粗利なのか売り上げなのかは書いていないが、実際これは単なるフィクションではなく、1日1500ペソ以上売っているベンダーはざらにいる。

セブの場合、ダウンタウンのコロン通りに出ているフィッシュボール屋には常に庶民がわんさか群がっている。

シンコペソと呼ばれる5ペソ硬貨が庶民生活のひと単位だ。

たった5ペソという感覚で特に腹が減っていないのに消費したくて仕方がない庶民の心理に乗って商売快調。

私の知り合いのフィリピン人版マスオさんがよく言うのがコレ。

「フィリピンの大学に行かせても卒業後に稼げる金額といえばせいぜい2万ペソ程度」

彼は自分がセブの大学を出たあとに富裕層の奥さんと結婚し、アメリカへ移住してからフィリピンの現状が客観的に見えるようになった。

故リークアンユー目線「フィリピンがダメな理由」←フィリピンが発展すると困るbyモトボサツ

まだまだ庶民は先生様になるのがフィリピン人としての王道だと信じている。

一方、フィリピン化しているといわれる日本。

たとえ有名大学出ようとも、プアワーカー続出で、中卒の元ヤンが始めたビジネス年収に遠く及ばないケースが多い。

形骸化する学校の存在。

うちのカワイイちゃんには学歴や資格のみに頼らない実力社会で生きる力をぜひ身に着けてほしい。

 

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モトボサツ

2年のセブ島ジャングル生活を経てビサヤ語を習得。その後タガログ語も同時に習得し、最後は英語という逆ばりメソッド。現在生命保険、医療保険コンサルおよびビジネス通訳を兼ねる。元セブの大学にて3年間ストリート系日本語教師の経験あり。

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