セブのバリリが舞台
悪魔のチャリのオーナーF氏とは妙な縁がある。
私はマニラ時代にパシッグ市というところに住んでいたのだが、週末になるとウルトラという競技場の中にある50mプールに泳ぎに行っていた。
オリンピックサイズと呼ばれるこのプールは施工ミスで若干50mに満たないという話だが、マニラも所詮フィリピンなのだ。
ところで、F氏は奇遇にもウルトラ内部の宿舎に武道の指導者としてしばらく住んでいたらしい。
ごくたまに一緒にレッドホースを飲みながら二人でウルトラ周辺のいかがわしい店の話等で盛り上がるのだ。
F氏「ボサツさんのブログに出てくる元カノTって虹の谷の5月に出てくるクイーンですよね?」
虹の谷の5月というセブを舞台にした小説があるのだが、実はまだ読んだことが無かった。
ということで、さっそくF氏からその小説の上下巻貸りて読むことにした。
今日から寝不足決定😁 pic.twitter.com/TZqv8l2hfF
— モト ボサツさん【ストリート系ブロガー】 (@motobosa02) December 5, 2019
実際読む前に色んな人のレビューをざっと眺めてみたのだが、かなり賛否両論の別れる小説だということがわかった。
そして、昨夜寝る前に早速読み始めたのだが、セブ在住者からするとツッコミどころ満載の予感が止まらない。
個人的にどうしても気になる箇所
「おいら」という一人称
まず、とても気になるのが主人公の「おいら」という表現。
日本語の話せないジャピーノを主人公にするながら「アコ」の方がより自然な気がする。
フィリピン在住者または関係者は自分のことを「おいら」と表現する人が多いのだが、ひょっとしてこの小説から影響を受けているではないだろうか?
私にとって「おいら」という言うキャラは「釣りキチ三平」なので、主人公のトシオの顔のイメージは既に麦わら帽子の三平とかぶっている状態だ。
タオルケットという表現
1ページ目からツッコミたくなったのが、タオルケットという表現。
そもそもタオルケットは典型的な和製英語で英語表現ではBlanket(ブランケット)またはCotton Blanket(コットンブランケット)となる。
セブでもタオルケットに相当するものはブランケットと呼ばれているので実情に即した名称にした方が良い。
レモンじゃなくダウニーだろ
私の認識ではフィリピン人にとって魅力的な香料はダウニーの匂いだ。
テレビのコマーシャルでもダウニーの香りたっぷりの服を着た男が女性とイイ感じになるのはお約束。
私の調査によれば田舎へ行けばいくほどダウニー信仰は高く、トシオのいるバリリは正にそんな集落だろう。
だからトニアの匂いはダウニーで決まりだ。
フィリピンに中学はない
22ページに「ガルソボンガ中学の従業が終わると。。。」とあるが、セブを含むフィリピンでは小学校6年の後にいきなりハイスクールに4年通って終わり。
その後ストレートで4年制大学に入学したとしても20歳で卒業するのだ。
私が大学で日本語を教えていたころ、18歳や19歳で卒業という妙な生徒がいた。
聞いてみると子供の頃賢かったので小学校に入る年齢が他の子より1年か2年早く、その分早く卒業するというパターンなのだ。
うちのティムも19歳で卒業したと自慢しているが、私からすると読解力に関する勉強時間が足りないというイメージが強い。。。
そして、2013年の法改正によって高校が6年制となりトータルで日本と同じ環境となった。
この小説が書かれた時代は旧制度なのでガルソボンガハイスクールと言い換えた方がよりリアルだ。
読書好きのラモン
先日の調査でフィリピンは世界一読解力が低い国という残酷な現実を突きつけられてしまったのだが、実際読書をしているフィリピン人を1年に1人とか2人程度しか見かけない。
たまに本を読んでいる人を見ると神々しく輝いて見える。
小説の中に出てくる「ラモン」が2階で本を読んでるというシーンにはかなり違和感を覚えてしまったが、ラモンはセブでも稀な勉強家なのだという説明があるとかなりリアルだ。
まとめ
今までのレビューの中でセブ在住者によるツッコミ系のコメントは見当たらなかったが、現地に詳しい在住者には飽きない小説であることは間違いない。
また混血のフィリピン人のことをジャピーノと呼ぶやり方はこの小説が発行された15年前には既に確立されており、うちのカワイイちゃんもジャピーノなのだと思いながら読み進めている。
それにしてもクイーンの登場が待ち遠しい。
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