セブのアヤラモールの中でおそらくもっとも場末なスポットが4階のダンキンドーナツ。
75ペソのコーヒー&ドーナツセットがいつものやつだ。
その日はなぜか無性にマフィンが食べたい気分だった。
やる気のないスタッフがかったるそうに一瞬目を合わせた。
私はマフィンを指さして75ペソのコーヒーセットと申し出た。
「それはダメ」
薄々そうだろうと思っていたがダメだとはっきり言われてしもうた。
しかし、ダメ出しするのは良いが、どれなら75ペソに適合するのか教えてくれるほどフィリピンは甘くない。
もう一人ボスキャラが奥にいた。
私はそっちに向かってひときわ大きな声で言ってやった。
「マアム、この前は75ペソセットにマフィンダイジュブだったでしょ?」
この前はOKだったという適当な前提をかぶせてみるのがルールが曖昧なフィリピンでは非常に効果的だ。
「Sige lang」まあいいよ
ボスの一声でまんまと特別サービスをゲットした。
時の流れにさえ忘れられた空間。
ローカル新聞を広げているシニア客。
田園都市線のドトールのように退職者が社会参加している場所ではない。
この場所へ身を置くと、知らない街へ一人旅に出た気分になる。
チープな苦いだけのコーヒーを口にふくむと、記憶の底に沈殿した遠い昔の景色がふいに浮かんでくる。
そこで思い出される風景は思い出になる予定ではなかったありふれた光景ばかり。
セブ生活が旅なら、今日も明日も、小さな旅だ。
旅のお供に「ウサカ マフィン」。
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