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【撤退】セブから姿を消した無印良品 一方勝ち組ダイソーの勝因は?

投稿日:2017年7月1日 更新日:

日本ブランド夢の跡

セブ島アヤラ新館。

撤退した店の夢の跡地は独特の雰囲気に包まれる。

新しい店が出来ると直ぐに目立つが、逆に閉店跡地を見てそれまでそこに何があったのかさっぱり思い出せない。

「あれー、ここは確か。。。」

いつものように5秒間考えた。

「無印良品!?」

今年に入って無印は急にクリアランスセールを始め、今まで利用しなかったティムがMUJIのボールペンやノートを買いあさり、俄かムジラーになっていたのを思い出した。

2014年、セブのアヤラ新館オープンと同時に日本のブランドがいくつか入った。

ダイソー、MUJI、アシックス、オニツカタイガー、資生堂。

日本では一般層が普通に買い物する日本製でもセブではダイソーでさえちょっとした高級品扱いだ。

しかし、基本的に、日本ブランドの店は閑古鳥が鳴いている。

自分撮り大国フィリピンはナルシスターで構成され、120%見た目が全ての世界だ。

男性は常にトイレの鏡で髪型を整え、女性は30分に1回のペースで自分の顔を塗装する。

そんな世界で化粧品はライフライン。

フィリピンで資生堂という名前を知らない女性はいないだろう。

しかし残念ながら庶民には手が届かないまるで美術館のような扱いだ。

アシックスもオニツカタイガーも同じ感じでアヤラ新館の飾りとして機能している感が強い。

しかし、そんな中で気を吐く存在がダイソー。

2016年のデータでは国内に3000店舗、海外1500店舗という進出具合だ。

フィリピンで売られるダイソーの商品は88ペソ(200円強)。

日本の2倍の値段で売られているが、レジの処理能力の悪さも加わり、いつも人がわんさか溢れている。

日本の2倍の値段とはいえ、フィリピンあるあるなその辺の粗悪店と比べて、そこそこの品質かつ割安感が人気の根本だ。

たとえば、私が毎朝転がしている腹筋ローラー。

アヤラのデパートで買うと249ペソだが、ダイソーではなんと188ペソ!

ぜひこちらをご覧ください

欲しい物があったらとりあえずダイソーチェックがセブの合言葉に

なりそうだ。

付録 セブの大学生にいきなり聞きました調査

私が日本語を担当しているセブの某大学で授業中に日本に対する意識調査を行ったことがある。

質問:日本企業やブランドで何を知っている?

・ミチュビシ(三菱)
・ホンダ
・マチュダ(マツダ)
・ユニクロ
・トヨタ
・いすゞ
・資生堂
・ソニー

パナソニックやアシックスについては韓国企業とか思っている大学生が多い。

フィリピン独自のメーカーが無いので、どのメーカーがどの国なのか混同しやすいのだろう。

ちなみに、セブでは完全にロッテは日本ではなく韓国企業という見方が強い。

フィリピン人が語る”無印VSダイソー”の勝敗論

ダイソーの成功をよそにさっぱりだったMUJI。

中間層なフィリピン人数名に聞いてみた。

なんでMUJIは閉店したと思う?
「Para nimo, Nganong Nisarado man ang Muji?」
パラ ニモ ガノン ニサラド マン アン ムジ?

フィリピン人に言わせると、共通して出てくるのがダイソーに比べ相対的に「MUJIは高い!」ということ。

品質が違うから値段が違って当たり前。

しかし、ダイソーと無印は”日本の店”という共通項で大ざっぱにくくられる。

地味だけど実は高品質という日本のワビサビ的隠れた美学はフィリピンでは通用しない。

パッと見変わらないアイテムが3倍近くする謎のMUJI。。。

両社は皮肉にも同じタイミングでアヤラ新館の同じ階にオープン。

短絡的に比較され、その結果、同じ日本の店ならダイソーが入りやすいという意見が多い。

そんな理由でパッと見競合に見えないMUJIとダイソーの明暗が分かれてしまったようだ。

しかし、撤退したMUJIは衰退している会社かと言えばそうでもない。

古い店やダメな店に見切りをつけ、新陳代謝の速さで勝負している。

ちなみに私の故郷長崎市の西友道ノ尾店の無印は最近閉店してしまった模様。。。

しかしリニューアル店の出店が全国で目立つ。

グループ全体で黒字ならそれでいいというアグレッシブな戦略だ。

結果的に国内よりも海外へどんどん展開傾向となっている。

国内店舗数452、海外418。

特に中国の店舗数は凄まじくなんと200!!

参照元サイト

ちなみにフィリピンは7とあるが、セブが撤退したのでそのうち6に上書きされるのだ。。。

1 中国 200
2 台湾 42
3 韓国 20
4 香港 17
5 タイランド 14
6 イギリス 12
7 シンガポール 10
8 フランス 9
9 フィリピン 7
10 ドイツ 6
11 インドネシア 6
12 マレーシア 5
13 UAE 4
14 オーストラリア 3
15 インド 2
16 クウエート 2
17 ポルトガル 1
18 アイルランド 1
19 サウジ 1
20 バーレン 1

 

MUJIは欧州でかなり評価が高く、イギリスやフランスなのでも成功していると聞く。

品質という概念がうすうす0.01mmなフィリピンではMUJIの良さを訴えるのは100年早いのだろうか?

フィリピンのみならず、日本で売られているアイテムをそのまま売るのは難しい。

現地の文化や思考を十分考慮にいれ、地元民に馴染むためのカスタマイズまで必要なのだ。

フィリピンではそのローカライズ戦略があまり見られなかった。

地元のルスタンス社と合弁しているので、自由さに制限があるのだろう。

 

勝ち組のダイソーでは何が売れているのか?

セブのダイソーでフィリピン人が群がっているのは化粧品コーナー!

日本語で書いてある商品をジッと眺めるフィリピン人客が印象的だ。

セブの売り場は狭く、化粧品、綿棒、爪切り、洗顔フォームなど体に関係する衛生商品が一か所に集められている。

日本語で書いてある商品をジッと眺めるフィリピン人客が印象的だ。
「炭って、おいしいのかな?」

しかし、ダイソーも外すことはある。

デカ目キープという謎の商品はフィリピン人にはキツい。

人間なんて常に無いものねだりの生き物。

フィリピン人は自分の目がデカくて嫌気がさしている人が多い。

だからこの商品はローカライズのマーケティングから漏れた商品なのだ。

まとめ

フィリピン人の食指は100ペソがボーダーライン。

我々日本人が1000円以内をお買い得だと思ってしまうザックリとした金銭感覚だ。

日本の2倍の値付けとはいえローカル客獲得に成功しているダイソー。

ダイソーに食われてしまったMUJIとの差は品質と値段のバランスと立地やタイミングなど商売は奥が深い。

もし、MUJIが合弁パートナーの高級スーパールスタンスの中で展開していたら結果は変わったかもしれない。

消費者は場所によって気持ちが変わる。

たとえばインターナショナル空港で買う予定じゃなかった免税品を買ってしまうのも、空港というスカした場所だからこそ、その気になって財布のヒモが緩んでしまうのだ。

しかし、10年間フィリピンに住み、フィリピン人社会へすっかり溶け込んでいるつもりでも彼等が何を考えているのかさっぱり分からない時が多々ある。

だからこそ、海外での商売は面白いのだ!

またMUJIのセブへの再戦を期待したいと思う。

 

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モトボサツ

2年のセブ島ジャングル生活を経てビサヤ語を習得。その後タガログ語も同時に習得し、最後は英語という逆ばりメソッド。現在生命保険、医療保険コンサルおよびビジネス通訳を兼ねる。元セブの大学にて3年間ストリート系日本語教師の経験あり。

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