ティムから聞いた話。
土曜日の午後1時過ぎ、ASフォーチュナ通りラーメン店”浜風”に奇妙な来客があったそうな。
若い女性がドアをノックした。
日焼けした肌に乱れた髪。
ブラジャー無しでおまけに裸足。
乞うような表情。
キャッシャーのJ子はクレイジーな物乞いだと思い追い払おうとした。
男女問わず白い粉のやり過ぎでクルクルパーになってしまうフィリピン人は多い。
たしかに条件的にピッタリ物乞いだが、何かが違った。
ティムはドアを開けてみたらしい。
するとその物乞い風の女性は、かなり流暢な英語で道を尋ねたらしい。
「この辺に絵画カフェありますか?」
「たぶん、向かいの建物の2Fですよ」
ティムはいつものように適当に答えた。
基本的に物乞いは英語が話せない。
フィリピンは英語を公用語としているが、皆が話せるわけではないのだ。
その女性はしばらくしてまた戻ってきた。
まだオープンしていなかったらしい。
キャッシャーJ子は気味悪がって店に入れたがらなかったが、ティムがまたドアを開けた。
「すみません、ここで一番安いラーメン幾らですか?」
その女性は500ペソ紙幣を見せた。
「チュケ麺(つけ麵)280ペソオンリー」
J子は驚いた。
マム、あの人オカニあるよ?
「Ma'am,Naa siya kwarta 」
マアム、ナア シャク ワルタ
500ペソといえば1日の賃金を軽く超える額。
セブではちょっとした大台だ。
携帯がIphone6だよ!
Iyang cellphone kay Iphone 6 ba!
イヤン セルフォン カイ アイフォン6 バ
裸足で色が黒い=物乞い
単純明快な思考。
すでに頭の中では物乞いだとFIXされているJ子。
暫くしてチュケ麺(つけ麺)が運ばれ、その女性は一心不乱に食べきったらしい。
箸の使い方がまるで日本人だ。
ティムは思い切って聞いてみた。
「あのぉ、ネホンジン(日本人)ですか?」
「はい!」
「どこから来たの?」
「マクタンのセブヨットクラブ」
彼女はおもむろに紙とペンをバッグから出し、ヨットクラブへの戻り方をティムに尋ねた。
それを見ていたJ子はさらに驚いた。
マム! あの人パイロットのボールペン持ってるよ!?
「Ma'am, Naa siya pilot na ballpen 」
マム ナア シャ パイロット ナ ボールペン
裸足でクルクルパーな白い粉女なのになぜか日本人でしかもパイロットのボールペンを持っている。
非常に混乱するJ子。
「ところで、なんで裸足なの?アチュイ(熱い)でしょ?」
「今朝、イタリア人の彼氏と大ゲンカしてそのまま出て来たから。。。」
その女性は多国籍8名グループで世界中をヨットで旅しているらしい。
年齢は28歳。そこに日本人女性は彼女が一人だけ。
現在ヨットの修理の為1週間ほどマクタン島のセブヨットクラブへ停泊しているとか。
ってことはヨットの中で靴も履かずブラもつけないあわらな恰好で共同生活しているのか?
しかもパロパロ一番なイタリア人と。。。
自分が父親だったらとても不安だ。
どうやら母親も非常に不安らしい。
以前通信事情で2週間連絡を取らなかった事があり、母親が慌てて捜索願を出したとか。
しばらくティムと話した後、その女性はジプニーに乗ってマクタンのヨットクラブの方へ戻って行ったとさ。
日本人は女性が逞しい。
セブに来る日本人も女性の行動力が男性を凌ぐ。
この出来事から分かる事
■フィリピンは見た目がすべて
本ブログを書き始めて3年間、事ある毎にこの事に触れて来た。
・いつも鏡をみて自分をチェックするナルシスト気質。
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・少し前までイミグレのオフィスにはドレスコードがあった。
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・他人の持ち物が気になる。
携帯で品定めする。
以前サンライフ事務所に来た日本人の客さんがヨレヨレのTシャツだったので、ガードマンに止められた事がある。
オカニ持ったクライアントだと説明しても次回から服装に気を付けるように言われた。
この融通の利かなさはフィリピンの特徴。
事務スタッフも訝しげな顔で距離を置く感じになる。
「あの人オカニ持ってるのに何であんな恰好をしてるの?」
40年位前までは日本もそうだった気がする。
繁華街へお出かけするときは親から仰々しい服装に着替えさせられたものだ。
フィリピンも公共の場でラフな格好をしているのは富裕層だったりする。
庶民の恰好の変遷を追ってみるのも面白いかもしれない。
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