ヤワという名のフィリピン鬼
私の住むセブ島で話されているビサヤ語ではよく「ヤワ」という単語を耳にする。
夫婦喧嘩の際に主に妻が夫へ向かって言う必須単語だ。
日本語で言うと、「この大バカ者のこの人でなし!」といった感じだ。
フィリピンとは完全にアマゾネス国家で、日本とは比べ物にならないほど女性が強い。
管理職率は世界トップクラスで、銀行に行くと分かり易いが、支店長をはじめ要職は女性が占めており、男性はドア付近にセキュリティーガードとして突っ立っている。
しかし、働き者でしっかりした女性ほどこう言うのだ。
フィリピンという国で大量のタンバイ(無職男)が存在出来るのは、フィリピーナが持つダメ男を愛しむワイルドな母性ゆえだと言えよう。
こうやって欲望、感情、内心むき出しのフィリピンでは頻繁に「ヤワ(鬼)」に出くわす。
三つの鬼
仏教で鬼とは心の中に渦巻く卑しい感情や欲望を具現化したもので、3種類の鬼が存在する。
赤 青 黒
- 【赤鬼】(貪欲、欲望、渇望)
- 【青鬼】(瞋恚、悪意、憎しみ、怒り)
- 【黒鬼】(疑、愚痴、疑いの心)
赤鬼、青鬼は表裏一体
赤鬼の支配する貪欲とは一口で言えば「欲」の心のことである。
1.食べ放題
食べ放題のブッフェで貪り食いたい欲を反映して、食べ放題ビジネス大盛況。
2.財 欲
努力しないでオカニ(お金)が欲しい。もっと欲しい。ウソついても欲しい。
3.色 欲
常に異性の事を優先に考え、モテるための執着は凄い。フェイスブックが大盛況なのも、出会を意識した結果なのだ。
4.名誉欲
フィリピン人をひと前で怒ると深く恨まれると言われるのも名誉欲の強さが故だろう。褒められて育ちすぎると自己愛の副作用として名誉欲が止まらない。
5.睡眠欲
とにかく少しでも寝ていたいという欲。
遅刻の殿堂フィリピンでは睡眠欲が具体的だ。
そして、我欲が邪魔されたときに出てくるのが青鬼。
自分の思った通りにならない時や自分の欲を邪魔した者に対して腹が立つ現象。
フィリピン人をひと前で怒ると他人の前で恥をかかされたとプライドが傷つき赤鬼が出てくる。
また、嫉妬心もこの赤鬼の範疇で、痴情が原因の喧嘩が絶えない。
常に青鬼が赤鬼を呼ぶのだ。
客がやってくると面倒臭そうにする現象は、フェイスブックでチャットをしていたいのに客に邪魔されると腹が立つ。
フェイスブック欲を邪魔され赤鬼が出てくる。
欲と怒りは直結しており、交互にやってくるペアなのだ。
黒鬼
フィリピンではクラブ(蟹)メンタリティと呼ばれる他人をねたむ心だ。
自分よりもグワポまたはグワパを見ると、心おだやかではなくなる心だ。
口では「よかったねー」と笑顔で言うが、腹底でギャータイと言っている。
反対に不幸な人を見ると、口では「ローオイ(気の毒に)」というのがお決まりのセリフだが、対岸の火事的な楽しみさえある。
これを仏教では「心口各異」という。
つまり心で思っていることと、口で言っていることがそれぞれ異なっているのである。
日本人も同じ
まるでフィリピン人が全て「ヤワ」だと書いたようだが、実は日本人も同じ。
日本人も全く同じように思うはずだが、アウトプットしないので心の中に渦巻き精神が止む。
フィリピン人に自殺者が少ないのは、いつも鬼を外へ発散しているからだと考える。
鬼を全開にしまくるのは必ずしも良いこととは思えないが、日本人はもっと鬼を表現しても良いのではないだろうか?
しかし、究極的には鬼の存在に気づき、今青鬼のせいで赤鬼が出て来たと意識するとそのうち、自分の中で制御が可能となってくるだろう。
以上、フィリピンライフと鬼の話でした。
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