トワイライトを夢見る女性
S子は本が大好きだったのだが、数字とにらめっこの会計士のくせに白馬の王子が出てくる系の恋愛小説が大好きだった。
彼女の仕事が終わった頃に彼女の所属する事務所のすぐ側にある中華ファーストフードの超群でよく落ち合った。
ほぼ朝と昼関係なく頻繁にテキストが来る。
フィリピン人の1日の実質労働時間は3時間位だろう。
内容は「Hi how are you?」や「Take care always」といったフィリピンひな形通り。
毎日律儀に返信しているうちに当時使っていたスノイも片手でブラインドタッチが出来るようになっていた。
S子は手に本を持っていた。
まるで大学受験で大変お世話になった赤本のような分厚いサイズだった。
表紙を見るとtwilight(トワイライト)と書いてあった。
富裕層のイケメンヴァンパイアと一般人女性が恋に落ちるというあの大ヒットドラマの小説だ。
おいおい、フィリピンらしくイケメンタンバイ&マッチョダンサーとのワイルドな恋ではないのか?!
※イケメンでマッチョで働いていないという三種の神器が庶民のフィリピーナの間では母性が疼く組み合わせ
丁度読み終わったその本を私に貸そうと持って来たようだ。
本が好きな人はきっと他人も本を読むのが好きだと思い込むものなのかもしれない。
文字を読むのが苦手な私は当然英語で書かれた赤本みたいな分厚い本を読む気にならなかったが断るのが面倒だったのでとりあえず形だけ借りることにした。
ああ、とても日本人らしい俺。
ところで、フィリピンの本は英語で書かれている。
普段話しているビサヤ語で書かれた文献は地元の新聞以外お目にかかったことがない。
私は借りた本を1ページも読まずに止めてしまった。
Lisud kaayo(絶対無理)。
そして2日後、S子は「Mana?」読み終わった?と聞いて来た。
眉で微妙な返事を返しただけだった。
良かったら次を持ってくると言っていたが、忙しいと嘘をついて拒否した。
S子はあの本を1日で全部読んだらしい。
TOEICの問題見ただけで気持ち悪くなるのに、あんな分厚い英語の本を1日1冊のスピードで読むなんて私にはできない。
自分が出来ないことが出来る女性は魅力的だ。
そしてそれを征服する。
このことできっと自分を支配する劣等感が鎮まるのだ。
ところで、女は灰になるまで女という言葉にもあるように女性の方が恋愛や性に対しディープだ。
ショッピングモール内にある官能小説ショップには女性客しかいない。
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その証拠に最近では女性が解放され、女性による女性のための官能小説も激増した。
男性向けの動物的なビジュアル的刺激を求める物とは一線を画し、もっと実際のリアルな人生とシンクロするストーリー展開。
女性がビンビンくる繊細な感情のシーンが描かれている。
S子がどっぷりとその世界にのめり込んでいたトワイライトも原作者はステファニー・メイヤーという専業主婦。
いつも何か満たされない女性の貪欲な心理。
彼女は家族が寝静まった夜、パソコンに向かって物語を書き始めた。
それから3か月後に世紀の大ベストセラーは完成。
女性の貪欲さを感じたのはあの映画。
セブでは子供の入場が制限されたエロチックムービーも女性客の方が圧倒的に多かった。
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トワイライトを返却した翌日、S子からテキストが入った。
子供は親戚の家に泊まりに行っているので今夜は誰もいないとテキストして来た。
どういうことだ。。。
私はS子という名のヴァンパイアにやられてしまうのだろうか?
つづく。。。
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